これが現実

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Q. 年間20mSvの被曝限度に問題はないのか?

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A. もちろん大問題である。理由は次の通り。

  1. 決定プロセスがずさんである
  2. 法律では1mSvが基準なので、20mSvは違法である
  3. そもそも20mSvは危険である!
  4. 子どもにとってはなおさら危険である!!

決定プロセスがずさんである

文科省などが「年間の積算放射線量が20ミリシーベルトに達するかどうかを目安とし、毎時3・8マイクロシーベルトを学校での屋外活動の基準とする」との原案への助言を安全委に求めたのは4月19日午後2時ごろ。安全委側は正式な委員会を開かず「委員会内部で検討し」(関係者)、午後4時ごろに「妥当だ」と回答した。だが、議事録が残っていないため、安全委内部でどのような議論が行われたかは明らかではないという。

原子力安全委員会は、「20ミリシーベルト」は基準として認めていないと発言。また、安全委員会の委員全員および決定過程にかかわった専門家の中で、この20ミリシーベルトを安全とした専門家はいなかったと述べた。

 誰がどう決めたのか分からない、誰も責任をとらない。自滅した旧日本軍と同じ体質である(参考:山本七平著/一下級将校の見た帝国陸軍)。上記の引用を含め、詳細は下記を参照ください。

参考:20ミリシーベルト問題の経緯 – cryptonyme + 原発ノート
参考:【プレスリリース】誰がどう決めたか?迷走し始めた「子どもに年20ミリシーベルト」政治決断(2011/05/02) | eシフト

法律では1mSvが基準なので、20mSvは違法である

 ICRPの勧告では、一般公衆が1年間にさらされてよい人工放射線の限度(被曝限度)は1mSvである。同様にして、日本の法律でも1mSvが規定されている(参考:1ミリシーベルト)。つまり法律を改正せずに、被曝限度を20倍に引き上げたのは違法行為である。小佐古内閣参与が抗議の辞任をした理由の一つである。

今回、福島県の小学校等の校庭利用の線量基準が年間20mSvの被曝を基礎として導出、誘導され、毎時3.8μSvと決定され、文部科学省から通達が出されている。これらの学校では、通常の授業を行おうとしているわけで、その状態は、通常の放射線防護基準に近いもの(年間1mSv,特殊な例でも年間5mSv)で運用すべきで、警戒期ではあるにしても、緊急時(2,3日あるいはせいぜい1,2週間くらい)に運用すべき数値をこの時期に使用するのは、全くの間違いであります。警戒期であることを周知の上、特別な措置をとれば、数カ月間は最大、年間10mSvの使用も不可能ではないが、通常は避けるべきと考えます。

出典:NHK「かぶん」ブログ:NHK | 科学のニュース | 官房参与が辞任・記者会見資料を全文掲載します

そもそも20mSvは危険である!

 前述の小佐古内閣参与も辞任時の資料に書いている。

年間20mSv近い被ばくをする人は、約8万4千人の原子力発電所の放射線業務従事者でも、極めて少ないのです。この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは、学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたいものです。年間10mSvの数値も、ウラン鉱山の残土処分場の中の覆土上でも中々見ることのできない数値で(せいぜい年間数mSvです)、この数値の使用は慎重であるべきであります。

出典:NHK「かぶん」ブログ:NHK | 科学のニュース | 官房参与が辞任・記者会見資料を全文掲載します

 原発労働者の白血病の労災認定基準が年間5mSvである。労働基準監督署は年間5mSvでも白血病になれば、被曝と因果関係があると判断しているのだ。ましてや年間20mSvは安全であるはずがない。

 放射線管理区域も年間5mSvが基準である。次のようにそこで生活するなど言語道断の場所である。繰り返すが、ましてや年間20mSvは安全であるはずがない。

放射線管理区域とは、私(=小出裕章先生)のような特殊な仕事の人間がどうしても仕事の都合で入らなければいけないような場所。水を飲んではいけない、食べてもいけない。そこで寝てもいけない。タバコを吸ってもいけない。子供を連れ込んではいけない。それが放射線管理区域。

出典:2011年3月31日 岩上安身氏によるインタビュー 小出裕章 « 小出裕章 (京大助教) 非公式まとめ

 さらに20mSvはあくまで外部被曝だけで計算し、内部被曝は考慮に入れていない。内部被曝の方が外部被曝の数倍から数十倍、危険であると言われている。つまり20mSvの場所で生活すれば、呼吸や食事によってその数倍から数十倍被曝することが考えられる。(御用学者でも認める)健康に明らかな影響が出る目安の100mSvも軽くクリアしてしまうのだ。

子どもにとってはなおさら危険である!!

 同じ基準でも、子どもの方が大人の数倍から数十倍危険であることを Q. 被曝は子どもの方が危険なのか? に書いた。下記の表によれば、0歳児は33人に1人がガンで死亡する。ましてや内部被曝まで考慮に入れると、さらに深刻である。
放射線ガン死の年齢依存性(何人中1人がガン死するか)
出典:新庄水田トラスト: 【原発アクション】終焉に向かう原子力 小出裕章氏講演

 水道水では乳児と大人の摂取基準が違ったのに、なぜ放射線量では同じ基準なのか。父母の抗議により、5/27に文部科学省が「福島県内の子供が学校で受ける放射線量を、今年度は当面、年間1ミリ・シーベルト以下を目指す」と発表した。これもまたトリックがある。「福島県内」の学校だけで公費負担を行う、「今年度」なので3月末以前の累積放射線量は考慮に入れない、「文部科学省」なので学校外の累積放射線量は考慮に入れない。もう開いた口がふさがらない。

まとめ

 小出裕章先生もたびたび発言されているが、年間1mSvの法律を厳格に守ると、福島だけでなく東北・関東の広い範囲で居住ができなくなる。20mSvという基準は結局、避難区域を原発30km圏前後にとどめ、福島市や郡山市(さらには柏市や松戸市)といった人口集中地域を避難区域に入れないための、結論ありきの決定だろう。避難区域が狭ければ、避難・農作物・被曝症などへの補償を少なくできる。国民を守るための基準ではなく、政府や文部科学省や原子力ムラといった組織の仲間内を守るための基準である。

 国の指示が正しくて一緒に自滅しても良いと思う人以外は、一人一人が被曝に対する許容基準を持ち、(家族も含めて)自らが生きる道を選択しなければならない。いつまでも平和ボケしていては、見えない炎に焼かれて死んでも文句は言えない。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

追記 2011-07-17

 20mSvを求めたのは地元福島県からの要望だという話がある。以下、2011/5/2 TBSラジオ武田記者へのインタビューである。

基準を20mSvに高くしてくれと要望したのは、実は地元だ。基準を低くすると、福島市内の学校では既に越えているところがあるので、放射能汚染されていることになる。そうすると全体に風評被­害が広がる可能性がある。ところが基準を高くすれば、20mSvまで政府が大丈夫と言っているから、私たち地元は大丈夫だと言える。従って今回の場合は地元の声を優先して、20mSvに高く設定したら、小佐古さんが抗議した。

出典:

 一体何のための基準なのか? 住民を避難させるための基準ではなく、住民を避難させないための基準では、百害あって一利なしである。



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